今回は筋膜のセルフケアについてのヒントです。
街中の看板や健康雑誌等でも「筋膜リリース」という言葉を目にすることが増え、だいぶ一般にも筋膜という用語が浸透しているようです。
筋膜とはどのようなもか?
全身の筋膜は一枚になっているという意見があります。
私たちの手技療法ではその考えを支持しています。
一枚になっているので、足の筋膜から、脳を包む膜にたどり着くこともできます。
ですから、足の筋膜が中枢神経を包む硬膜にストレスを与えることも有り得るのです。
オステオパシーの創始者、アンドリュー・テイラー・スティル医師は筋膜の異常を
病の重要な原因の一つと考えていました。何かのきっかけで筋膜につっぱりが生じると、
身体の中に「何も起こらない場所」が出来てしまいます。
身体の動きが制限される他にも、体液の循環が滞り、栄養の供給も老廃物の排出も
十分でなくなります。痛みの原因となる物質が溜まり、身体の回復もおそくなってしまう
という事です。
また、全身の筋膜が一つながりであるとすると、浅い層の筋膜のツレが、
深い層に影響して思わぬ症状と関連しているという事も考えられます。
左の腰部に緊張が強くなり、骨盤の片側が吊り上げられるようなつっぱりがあるとします。
骨盤が傾けば、バランスをとるために背骨にも歪みが出ます。
背骨の歪みは神経系にも余分なストレスをかけ、諸症状の原因となり得ます。
背骨の歪みだけがすべての病の原因ではありませんが、筋骨格系のバランスを整えておくことは健康において重要です。
筋膜から健康を保つには、全身を無理なくストレッチするような体操がよいと思います。
まずは浅い層の筋膜のしわを伸ばすつもりで柔軟体操をしてみてはいかがでしょうか。
特殊な事や難しい動きは必要ありません。体育の授業でやったような準備体操みたいなもので十分です。
ポイントは、ゆっくりと無理なく(※弾みはつけないでじっくりと!)気持ちいい程度に。
全身のスジを伸ばすつもりで行って下さい。深呼吸も合わせて行うと体の反応が促進されるので、より効果的です。
体側を伸ばす時には脚の側面のスジにも注目してみましょう。
立位体前屈の姿勢なら後頭部から足の裏までの背面全体の繋がりも感じてみましょう。
全身のつながりに目を向けると、今までとは違った一層深い運動になります。
よかったら参考になさってください。
皆様のご健康とご多幸を願います。
さとう接骨治療室
(この記事は2021年4月に書いたものに加筆修正して再掲しました)