オステオパシーって何ですか?と訊かれることがあります。
アメリカの開拓時代の医師、アンドリュー・テイラー・スティルが創始した療法です。
技術も大事なのですが、その技術を生み出した信念や哲学に一番の特徴があると思います。
今回は偉大な先人によるオステオパシーの成り立ちと哲学を紹介いたします。
皆様の健康観にとって良い影響があると幸いです。
療法家でなくとも健康に関心のある方には面白い哲学だと思います。
スティル先生の基本的な哲学として、
「医師は病気を治すのではない」と考えています。
「医師の仕事は体の構造に生じた乱れを整えることである。そうすれば身体は正常に機能するようになる」
つまりは、体を適切に調整すれば、自然治癒力が病を治すという考えです。
当時の手記を読みますと、医師が治すなどというのは神への冒涜だという感じです。
(※スティル先生は敬虔なキリスト教徒でした)
実際にその考えを基に治療し、目覚ましい成果を上げていきました。
自然治癒力を重んじることに気づいてからの数年間は薬と徒手による治療を併用していました。
しかし、臨床での観察から、薬を用いないほうが予後が良いという結論にいたります。
更に「人間の体の中にはすでに神が備えた薬局がある」として、
解毒等の特殊な場合を除いては薬剤による治療を否定しました。
(※当時の薬は現在と違い未発達で、効果がないばかりか有害なものが多く行われていました)
スティル先生は自分の行っている新しい徒手による治療を何と呼ぶか悩みます。
スティル先生が患者の病態を探る際に最初に見るのが骨でした。
そこで、骨を意味するオステオン(osuteon)と、苦痛を意味するパソス(pathos)という2つの言葉から、
オステオパシー(Osuteopathy)と名付けました。
オステオパシーの誕生です。
次回は伝統的なオステオパシーの健康についての哲学をご紹介します。
・オステオパシーの創始者 A.T.スティル医師(1828-1917)