後頭部と首の上部の間のところを後頭下と言います。
ここは健康でも、運動でも、重要なところの一つです。
首と頭の繋ぎ目なので、いかにも大事であると思われます。
今回はその後頭下の筋肉について簡単に解説していきます。
後頭下の筋肉はいくつかあるのですが、それらをまとめて「後頭下筋群」と呼びます。
ここの筋肉には筋紡錘という感覚器(固有受容器)がとても多く集まっています。
筋紡錘は筋肉の伸張具合を感じ取ります。
体の位置感覚や、ボディイメージ、運動の調節をするうえで大変に重要な受容器です。
その筋紡錘は、大殿筋というおしりの筋肉1gあたり0.7個。
たいして後頭下深部の筋肉では1gに、なんと37個もあります。
後頭下の筋肉は非常に小さい筋肉なのですが、とても重要な働きがあります。
頭部の位置を感覚し、調整し、その情報を中枢神経に伝えます。
その情報をもとに中枢神経から全身のバランスを調整する指令が出ます。
猫は空中で体勢を立て直すのがとても得意ですが、それもこの後頭下の固有受容器の働きです。
縷々述べて参りましたが、後頭下の筋肉というのは大変小さく、力も小さいのですが、全身の運動に対する影響は大きいのです。
では、後頭下の筋肉が硬くなったり、バランスが崩れたりという不具合が出るとどうなるでしょうか。
姿勢の自動的な制御が鈍くなりますので、スポーツはもちろん、日常生活の動作にも不都合が生じます。
また、心理面での緊張も抜けにくくなります。
首と頭の収縮は動物の基本的な恐怖反応です。
動物の場合ですと、それによって状況を脱する準備にもなりますが、現代社会の人間の場合は必ずしも物理的な脅威とは限らず、緊張が不要な状況もあります。
筋肉の緊張が長く続くと、筋肉が硬くなります。
その硬さが恐怖反応に近しい体の状況をつくり、それが心理面にも影響してきます。
ストレスの生理的反応による弊害もあります。
このように後頭下の筋肉は小さいながらも健康においても、運動する上でも重要です。
私どもの手技療法の施術でケアするのは、もちろんおススメです。
セルフケアとしては、後頭下に蒸しタオルを当てる、筋肉をさする等の優しい手当をしてください。
首はデリケートなので、ゴリゴリと揉み解そうとしてはいけません。
よかったら参考になさってください。
皆様のご健康とご多幸を願います。
さとう接骨治療室