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「筋膜と神経、情報伝達」

 

 この数年で「筋膜」という用語が一般にも知られるになってきました。

筋膜リリースという看板を見かけたり、関連のグッズが売られていたりします。

この機会に筋膜とは何かということを見直したいと思います。

筋肉が形を保っていられるのは、筋膜という膜に支持されているからです。

実際の生きた筋肉は柔らかいため、筋膜によって形を保っているところが大きいです。

薄い膜ですがその役割は大変重要です。

 

今回は特に筋肉を包む筋膜と神経や感覚について紹介していきます。

筋肉や関節には位置感覚や筋肉の伸縮を感じ取る固有受容器と呼ばれる神経があります。

筋肉の固有受容器の大部分が筋繊維ではなく、筋膜に集中しています。

足底や後頭下の筋群は例外的に筋繊維にも固有受容器が多く存在しますが、姿勢保持や運動する上で特に必要でなければ、筋膜が筋肉の感覚の主であるということになります。

また大変興味深い特徴として、筋膜は個別の筋肉ごとにで独立した組織ではなく、全身が1枚の連続した膜であるということです。

足の裏の筋膜の状況が背中の筋膜に影響する、などということは珍しくありません。

 

筋膜の情報伝達には大まかに2つあります。

一つは通常の神経伝達で電気信号としてのルートです。

こちらはイメージしやすいと思います。神経で感覚したことを伝えていくやり方です。

もう一つはもっと直接的に電気信号に変換せずに物理的に伝わるルートです。

たとえば、不意の段差で体勢を崩しそうになった時にその衝撃がそのまま振動として音速で情報が筋膜全体に伝達されます。

筋膜の構造を生かした情報伝達は神経よりも速く反応します。

逆に筋膜に異常があり、この音速の伝達が鈍るという場合はどうでしょうか。

体勢を崩しやすくなるわけです。

この一面だけ見ても、運動機能向上や健康維持等、身体をケアするうえで筋膜は大変に重要なカギであることがうかがえます。

ケアする際には、そうした性質を覚えておくとより良いケアができます。

よかったら参考になさってください。

もちろん、私たちが施術する際には組織の特徴や性質を生かして安全で効果的な手技を心がけています。

 

皆様のご健康とご多幸を願います。

 

 

さとう接骨治療室