先日、「お腹に手を当てることの医学的意義」という記事を書きました。
記事を書くにあたって、ポリヴェーガル理論や迷走神経についておさらいしたのですが、やはり興味深いです。
呼吸と迷走神経について、すこし紹介したいと思います。
しばしばこの記事でも、また治療室でも深呼吸を奨めています。
臨床でも呼吸を利用した施術を行って実績を積んできましたので、理論上だけでなく実際に呼吸の持つ力あると言えます。
では、なぜ呼吸で体が変わるのか、緊張が緩み、偏りがリセットされるのでしょうか。
体について医学で解明されていることは、せいぜい10%くらいであるといいます。
もしかしたらもっと少ないかもしれませんが、その範囲の中でも沢山の現象が起こっています。
今回は冒頭で触れました、ポリヴェーガル理論や迷走神経の関連で「安心」と深呼吸について考えていきます。
呼吸筋である横隔膜は、横隔神経という運動神経の支配と共に、自律神経からの支配も受けています。
そのため呼吸というのは、自動的にも意志的にも行えるという特徴があります。
迷走神経は横隔膜を挟んで、上の臓器が腹側迷走神経、下の臓器が背側迷走神経が分布しています。
迷走神経の役割の80%は脳幹へ感覚情報を送ることであると言われています。
内臓からの情報を脳幹に伝え、生命維持に必要な調節を行うということになります。
ポリヴェーガル理論は腹側迷走神経の働きを利用して、トラウマの克服や、安心・安全な身体的状態に入ることを目指します。
横隔膜は腹側迷走神経と背側迷走神経の境界に位置していますので、横隔膜を利用することは理にかなっています。
穏やかに深く腹式呼吸をすることによって、興奮状態や、不動化の必要な状況でないことを中枢に伝えていきます。
そうすることで副交感神経が優位のリラックスした状態に移行していくことが出来ます。
さらに社会性の神経である腹側迷走神経が活性化され、社会生活を営みやすくなるなります。
深呼吸の効用はとても大きいと言えます。
深呼吸の何故良いのか、何が起きているのか理解できると、より取り組みやすくなるかと思います。
よかったら参考になさってください。
皆様のご健康とご多幸を願います。
さとう接骨治療室