オステオパシー手技で、特徴的なものと言えば、頭蓋骨調整を思い浮かべる方が多いようです。
私もオステオパシーの手技で先ず関心を持ったのは頭蓋骨調整でした。
きっかけはアンドルー・ワイルという医師による『癒す心、治る力』という本です。
この本の中で、ロバート・フルフォードというオステオパシーの医師についての記事がありました。
記事中、フルフォード医師の手技のうち、特に大事なものとして頭蓋骨調整を取り上げています。
フルフォードは手技療法で通常の医療が見放した患者を治癒に導いていきます。
「すごい!手だけで患者が治るの!?」私は興奮しました。
いつか頭蓋骨調整を学びたいと強く願ったのを憶えています。
さて、頭蓋骨調整に話を戻します。
頭蓋骨調整はどこにアプローチしているのか?
何を指標に施術しているのか?について(私の理解の範囲で)お話しして参ります。
・何処にアプローチしているか?
頭蓋骨調整は頭蓋骨の動きのリズムと運動のバランスを調整していきます。
ですから、手技は頭蓋骨とそのつなぎ目(縫合)、更に頭蓋骨の中の膜にアプローチして、全身に作用するよう行います。
(頭蓋骨は動いているのか?という方はコチラもどうぞ。)
・脳への圧力調整の面について(脳への物理的な負荷を取り除く)
頭蓋骨は脳を保護しています。ですから、頭蓋骨の状態が脳への圧力に影響します。
健康な状態ではこの圧力が丁度よく作用し、全身の健康のバランスを保ちます。
しかし、何かの原因でバランスが崩れると脳への圧力が負荷となり健康状態に影響を与えます。
頭蓋骨調整は手技によってこの圧力バランスをとります。
神経への物理的な負荷ですので、わりとイメージしやすいと思います。
・脳脊髄液の循環の面について(全身の体液循環を促し健康に寄与する)
脳というのは脳脊髄液を作り、拍出しています(※拍出のメカニズムについては諸説ありますので今回は触れません)。脳脊髄液の拍出により、頭蓋骨の中の圧力は一定のリズムで変動します。圧力が一定であることによって全身へ適切に脳脊髄液が送られます。しかし、頭蓋骨の動きに制限や弛みがあればこれが上手く行きません。
頭蓋骨調整はこの脳脊髄液の循環を調整する目的もあります。
・膜の調整の面について(主に脳・脊髄を包む膜を調整する)
頭蓋骨の下には膜があり脳を包んでいます。
この膜もまた一定のリズムで動いているという見解があります。
ですから、この膜の張力にアンバランスがあるとこれも中枢神経系への物理的負荷となります。
また当然、脳脊髄液の循環にも影響を及ぼします。
(※頭蓋骨よりも膜を重視する学派もあり、私は膜の考え方の方がイメージしやすいと感じています。)
膜の調整は頭蓋骨を介して行います。
膜は頭蓋骨に付着していますので、骨をテコにして張力のバランスをとることが出来ます。
以上、簡単にではありますが、頭蓋骨調整は何をしているのか?についてでした。
頭蓋骨調整は頭痛、めまい、耳鳴り等の不定愁訴以外にも多くの可能性を持っています。
背骨や四肢への施術と組み合わせる事で様々な不具合の改善につながります。
また別の機会に、症例と共に頭蓋骨調整について紹介したいと思います。
お読みいただきありがとうございました!