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「調整する力『ポリヴェーガル理論入門』の入門③」

 

『ポリヴェーガル理論入門』のレヴュー、三回目です。とりあえずはこれで最後にします。

(また別の機会にポリヴェーガル理論の本を紹介したいと思います。)

この本はとても興味深く、わかりやすく、とても有益です。

また、コラムでは取り上げていないものの、興味深く有益な話は他にも沢山ありました。

当然ながら本を読んでいただくのが良いと思います。

 

ポリヴェーガル理論の中心は何か?

神経系の働きを理解し「調整する力」を引き出す、または育むことだろうと思います。

調整する力があれば、実生活において、治療者がいなくとも回復していくことが出来ます。

以下、日常生活で取り入れたいことを、まとめたいと思います。

 

・安心できる環境または状況を大事にする。

安全であることが「健康」「成長」「回復」には必要である。

哺乳動物が健全に成長し、回復していくためには、安全な環境、他者との安心できる関係が必要です。

このことは、治療でなくともとても重要な問題だと思います。

特に、子どもの発達にとってはよく注意すべきことではないでしょうか。

 

・自律神経の働きを理解し、身体の反応を称える。

ストレスによって自律神経が乱れてしまうと、身体に不安を抱きます。

しかし、悩んでいた様々な反応が、実は自分を守るための正常なはたらきなのです。

このことを認めるだけで、トラウマ治療の大きな助けとなったという報告が多数寄せられています。

 

実際の療法の一環として、音楽を聴く、歌う、ということをすすめていたのが、私にはとても印象的でした。

歌は呼吸運動としても良いですし、心理的な発散による調整も期待できます。

しかし、聴くことの治療効果とは何でしょうか?

ポージェス博士によると、韻律に満ち、抑揚のある声は神経系においては「安全である」という合図になるということです。

ですから、そのような音楽を聴くことは回復につながるのです。

 

日常生活においても韻律に満ち、抑揚のある話し方が大事であり、その効果は多数報告されています。私もそのようにしたいと思います。

三回にわたり、とりとめのない記事でしたが、皆様の生活をより良いものにする参考になれば幸いです。

 

 

皆様の健康と繁栄を願います!